行政書士資格の上手な活かし方とは?そもそも役に立つ資格なの?
転職やキャリアアップを目指すために、行政書士の資格を取得することを考える方もいるでしょう。行政書士は、ビジネスに関する行政手続きを行う法律のプロです。専門的な知識を深められるので、持っていて損はない資格ですが、実際に取得した資格を活かすことはできるのでしょうか。行政書士資格の上手な活かし方とあわせて解説します。
行政書士は役に立つ資格なの?
もし、あなたがすでに会社に就職していて、昇進や昇給のために行政書士資格を役立てたいと考えているのなら、それは難しいと言わざるをえません。なぜなら、会社員でありながら行政書士を名乗って業務を行うことはできないからです。
行政書士業務を行うためには、行政書士会に登録する必要があります。行政書士会に登録するためには「個人事業主」「行政書士法人」「行政書士事務所の雇われ行政書士」の3つの形態から1つを選んで登録します。つまり会社員として登録することはできないのです。
仮に個人事業主として登録し、一般企業に従事している場合でも、社内では行政書士を名乗ることはできません。万が一行政書士として業務を遂行し、会社の売り上げに貢献した場合は、登録を抹消されるペナルティが発生することもあるので注意が必要です。
ですから、就職や転職の際に行政書士の有資格者であることを履歴書に書いても採用に有利になることは稀ですし、社内評価やキャリアアップにつながるわけではありません。ただ、企業内で法律に関する業務を行う法務部では、行政書士の知識が大いに役立ちます。行政書士として働くことはできませんが、法務部では役に立つ資格といえるでしょう。
行政書士資格の上手な活かし方
では、行政書士の資格はどのように活かすことができるのでしょうか。前述したように、行政書士として働くためには、行政書士会への登録が必須となります。3つの形態の中から選んで登録するわけですが、それぞれの働き方について見ていきましょう。
独立開業する
行政書士資格を最大限に活かす働き方としては、やはり独立開業することが一番でしょう。しかし、独立開業するのは大変険しい道となることを覚悟しなければいけません。まず、個人事業主として登録するためには、開業する事務所が実在していることが大切です。自宅を事務所として使用してもいいですし、場合によっては別に事務所スペースを借りなければいけないケースもあるでしょう。
そして、個人事務所として軌道に乗るまでは、安定した収入が見込めないかもしれません。待っていても仕事が舞い込んでくるわけではないので、絶えず営業努力が必要になります。資金面など入念な準備をしてから個人事業主として登録した方がよいでしょう。
行政書士法人
行政書士法人とは、2人以上の行政書士が集まって法人化し、組織的に行政書士の業務を行うことです。行政書士の仕事は広範囲にわたるため、複数人がそれぞれの得意分野を活かして分業することが可能です。そのため、仕事の幅をひろげることができ「支店」として複数の事務所をかまえることもできます。ただし、法人として登録した場合は、個人で事務所をかまえることはできないので注意しましょう。
使用人行政書士
使用人行政書士とは、個人開業や法人登録することなく、行政書士事務所に就職して従事する形態のことです。行政書士会に登録しているため、れっきとした行政書士ですが、形態は「雇われ」という身分なので業務内容に制限があります。たとえば使用人行政書士個人の名前で役所に書類を申請することはできません。個人事務所を開くこともできません。ただ、行政書士事務所または行政書士法人に就職しているので、安定した収入を得ることはできます。
行政書士資格を取得するためには?
行政書士の資格を取得するには、行政書士の資格試験を受験し合格するのが一般的な方法です。ただ行政書士は豊富な法律の知識を有する士業の1つですので、試験内容はかなり難しいと覚悟しなければならないでしょう。通信講座や専門学校に通い、何年もコツコツと学習して合格するという方が多いようです。
また、公務員としての事務経験が一定年数以上ある人は、その事実を申請することで行政書士会に登録できます。これを行政書士の特任制度といい「国または地方公共団体の公務員」もしくは「行政執行法人または特定地方独立行政法人の職員」として行政事務に関わった年数が中卒で20年、高卒・大卒で17年以上あると、資格試験を受けなくても行政書士になることができます。
ほかには弁護士・税理士・公認会計士・弁理士の4つの資格を有している人は、自動的に行政書士の資格を持つことができます。ただし、この4つの資格は行政書士よりはるかに難易度が高いので、行政書士の資格を持つためだけにチャレンジすることはあまりおすすめできません。
まとめ
以上、行政書士資格の活かし方について解説しました。行政書士資格は、開業するときには大いに役立つ資格ですが、就職や転職、または社内でのキャリアアップのためにはあまり役に立ちません。行政書士の将来性を考慮し、行政書士としてどのように働きたいかをしっかりと考えたうえで、試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。